ChateaudeVillarsFontaineシャトー・ド・ヴィラール・フォンテーヌ「オート・コート・ド・ニュイの大御所」、ベルナール・ユドロ氏ニュイ・サン・ジョルジュから4キロ程西へ山道を登ったオート・コート・ド・ニュイ内のヴィラール・フォンテーヌ村。その村に実存する古城、シャトー・ド・ヴィラール・フォンテーヌと同名ワイナリーのオーナーでヴァイキングの末裔だというベルナール・ユドロ氏は独自路線を貫き通したブルゴーニュでは異才として知られる人物。1960年代後半には当時フィロキセラ被害以降壊滅したままであったが歴史を辿ると中世には重要なワイン産地であった産まれ故郷村の可能性をいち早く信じて良い土地を買い足し葡萄畑として復興に着手。1970年にドメーヌを立ち上げて以降少しづつ買い足した畑は合計30haとなり現在では年間約12万本を元詰め。昔ながらの長期熟成型ブルゴーニュワインにこだわり、長い樽熟成と長い瓶熟成を信条としている。自身のワインを造る傍ら醸造学、生物学を学び、ディジョン大学で22年間醸造学と物理学の教鞭を執る。更に1990年代にはワイン産地としては未開の地であったタヒチ、ガボン、ミャンマーや中国にてぶどう畑開墾設計のプロジェクトに携わる。科学者の一面を持つベルナール氏はかつて11-17世紀までは偉大なブルゴーニュワインの産地であったオート・コート・ド・ニュイの気温が寒くなりすぎて中心産地が約100m下ったニュイ・サン・ジョルジュ周辺へと移動した事について過去1200年分の気候変動を分析。やがて凡そ200年周期で冷涼、温暖期を繰り返すという法則を見出し、今後は温暖化により又再びオート・コート・ド・ニュイ、とりわけグラン・ヴァンを産み出すコート・ドールの著名な畑と土壌的に大きく変わらないヴィラール・フォンテーヌ村の時代が来ると確信。実際に1996年を境に毎年ぶどうが理想的に完熟し、以前に増して高品質なワインが造れているという。又、ワインと健康について科学的な観点からの研究を医師団体と共に行っており、世界各国で講演を行っている。ジョエル・ロブション、ピエール・ガニェール、トゥール・ダルジャンといったフランス国内の著名レストランを顧客に持ち、口コミを頼りに多くの個人愛好家も顧客に持つ。残念ながらベルナール氏は今年2019年8月に急逝したが、将来飲み頃を迎える膨大なワインのボトルたちの中で彼の意思は生き続けている。栽培・醸造 〜長期熟成される事を念頭に造られる古典的ブルゴーニュ〜栽培に関してはこの地に適した畝の幅が3メートルで株は1.8メートルと高く仕立て、平均樹齢は45-50年と高い。選定、摘果などの畑仕事により収量がヘクタールあたり35hl程度とグラン・クリュ並みに留まるように管理を行っている。100%手摘みによる収穫を行い、選果台を使用。醸造は徹底して変わらない古典的でナチュラルな手法にて行われる。100%除梗し、温度は最大28度(白は20度)までに保ちながら3-4週間の長い醸しを行い自然酵母のみでアルコール発酵。赤ワインはピジャージュとルモンタージュによりフレーバーと長期熟成に欠かせない種由来のタンニンをしっかりと抽出する。長い樽熟成により強靭なタンニンが和らぎ風味が安定する事を目的に白は18ヶ月、赤は最低30ヶ月の樽熟成を行う。新樽は使用前に36ヶ月天日干しさせる事で過度な樽香や苦みといった不必要な成分を取り除いている。ノンフィルターにて瓶詰めで長期に渡る瓶熟成を前提としている事から慎重に厳選した良質のコルクにて打栓し、リコルクは一切行わない。ストック用の地下セラー温度は12-16度と理想的な状態に保たれている。「私のワインは優に40-50年熟成する」と豪語するベルナール氏の言葉通り、実際に1980年代のワインは魔法が掛かった様に妖艶でいまだ生命力に溢れている。 |
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